妹の形見分け(前編)


先月、妹のだんな様だった人が亡くなった。

母がその知らせを聞いたのが、諸事情で、葬儀の後だったため

先日、ダンさんと私、そして母の三人で自宅にお参りに伺った。

一人暮らしだったため、遺品は全て処分するという。

何か欲しいものがあったら、持って行ってくださいと言われたけれど

雑然としたその家の中を家捜しする気もなく

かといって、母としたら、あの時、結局「形見分け」をしてもらう機会がないまま

時が過ぎてしまったので

妹が住んでいたこの空間の全てがなくなると思えば、

何でもいいから欲しいと思ったらしい。

それで

母が妹に贈った漆塗りのお椀揃えを、なんとか探して持って帰った。





私は、本当は、「もしもあったら手にとりたいもの」が


ふたつ、あった。


あったけれど、行く前から諦めていた。

あの雑然とした部屋の中で見つけることは到底不可能だから。



ひとつは・・・



妹の日記。

独身の時の日記。

私も妹も当時、ずっと日記をつけていた。


いつごろのことだったっけ・・・

二人で話しているときに、約束したことがある。

うんと若い頃だ。


「二人のどちらかが死んだら、残っているほうが、相手の日記を読まないで処分すること」

お互いが相手を信頼して託した「遺言」だ。


だけど

私は・・その約束を実行できなかった。


日記がどこにあるか、遺族に聞くことさえできなかった。

でも、きっと家の中のどこかにあったはず。

でも、探して、「捨てるから私に渡して」・・と残念ながら言える機会もなかったし

もしも日記の存在を知られたら、それは妹が一番嫌がる結果になったかもしれないから

話題にもできなかった。そして時間が流れた。


今回「形見分け」らしき言葉を聞いて

久しぶりにその事を思い出す機会は与えられたけれど

約束を守れなかった情けない自分を改めて責める以外、なんの役にも立たなかった。


それでも、悶々と考えているうちに、自分に都合の良い解釈に辿りついた。


この家の全てのものは、たぶん業者によって処分するだろう。

「遺品整理」という形ではなくて「処分」という形で。

全て「処分」してくれるという事は

私が処分しなければならなかったものも処分してくれるはずだ。

そう思うことにしよう・・


そして、二つ目の「あったら手にとりたかったもの」

それは、思わぬところにあった。 後半はこちら

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by dansantokamisan | 2013-06-23 16:47 | 忘れられない話 | Trackback